大判例

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大阪地方裁判所 昭和58年(ワ)3457号 判決

一 請求原因1の事実(原告が本件実用新案権を有していること)は当事者間に争いがない。

右争いのない本件考案の「実用新案登録請求の範囲」の記載、成立に争いのない甲第二号証(本件考案の実用新案公報、別添実用新案公報に同じ)によれば、本件考案の構成要件は、

(1) 乗用車両のリヤウインド下にある座席後方棚に、反射面を後方に向け且つ上目ライト光線が車床に対し略平行に反射される角度で反射鏡を立設し

(2) この反射鏡を座席後方棚に対し出没自在とした

(3) 上目ライト警告装置

と分説するのが相当である。

そして前記甲第二号証によれば、本件考案は後続車が上目ライトで走行してきた時に反射鏡を上昇させると上目ライトの光線が反射鏡に当つて後続車の運転席へ反射され、これによつて、後続車の運転手は、自己車両のライトが上目になつていることに気付いて減光し、また、まぶしいため減光せざるを得なくなるという作用効果を有することが認められる(この点は被告の認めるところである)。なお、原告は本件考案には陽光の庶断という効果もある旨主張するが、本件実用新案公報の詳細な説明及び図面中に本件考案がかかる効果を有することを示唆する記載はなく、前記各構成要件からも右効果を推測できず、したがつて前記原告の主張は採用できない。

二 被告が現在業としてイ号物件(別紙目録(〔編註〕省略)のうち各説明については争いがある)を販売していることは当事者間に争いがない。

成立に争いのない乙第一号証及び被告主張のものであることに争いのない検乙第一号証によれば、イ号物件の構造の説明は「座席後方棚を有しないワゴンタイプ乗用車のリヤウインドの内面に、該リヤウインドに沿つて傾斜状に布地製カーテン本体を装着し、該カーテン本体を横方向(車幅方向)に開閉自在としたワゴンタイプ乗用車のリヤウインド用電動カーテン」と表現するのが妥当であり、右カーテン本体に光を反射する機能のないことが認められる。

三 そこでイ号物件と本件考案の各構成要件を対比すると、イ号物件は座席後方棚を有しないワゴンタイプ乗用車に設置されるものにすぎず、布地製カーテン本体も光を反射する機能がないから構成要件(1)、(2)における光を反射する鏡を意味する「反射鏡」に当らず、したがつて構成要件(1)(2)を充足しない。また、イ号物件が光を反射して後続車の上目ライトを警告できるものであるとも認められないから構成要件(3)も充足しない。

したがつて、イ号物件は本件考案の技術的範囲に属さず、被告が業としてイ号物件を販売することは原告の本件実用新案権を侵害するものではない。

四 よつて、本訴請求は理由がないからこれを棄却することとする。

〔編註〕本件登録実用新案に関する事項は左のとおりである。

原告は次の実用新案権(以下「本件実用新案権」といい、その考案を「本件考案」という)を有する。

考案の名称 上目ライト警告装置

出願    昭和五一年八月一一日(実願昭五一―一〇八〇四三)

公告    昭和五六年一一月一三日(実公昭五六―〇四八五九五)

登録    昭和五七年八月一三日(第一四四六五六四号)

実用新案登録請求の範囲

「乗用車両のリヤウインド下にある座席後方棚に、反射面を後方に向け且つ上目ライト光線が車床に対し略平行に反射される角度で反射鏡を立設し、この反射鏡を座席後方棚に対し出没自在としたことを特徴とする上目ライト警告装置」

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